ヒノキ、サワラ、ネズコ、アスナロ、コウヤマキ。
この5種類の針葉樹をまとめて、「木曽五木」と呼ぶんだ。
ところで、それぞれの木の違いがわかったかな?


ううーん、ヒノキとサワラは、特に似てるような気がした。
2本が同じ場所に一緒に生えていたけど、
どっちがヒノキでどっちがサワラか、見分けがつかなかったし。


「合体木」のことだね。
種類が近い木同士が成長の過程で合体してしまうことは、ときどきあるんだ。
ヒノキ、サワラ、ネズコは葉がとてもよく似てるんだ。


じゃあ、この葉っぱは、何の木?


葉を手にとってひっくり返したら正確にわかるよ。
これはヒノキだね。
小さな白いY字模様がヒノキ、XあるいはW字模様がサワラ。
模様がはっきりしないのがネズコ。
アスナロ(アスヒ)は、葉が平べったく、裏はベッタリ白い。


あれ、コウヤマキは? 
お仏壇にお供えする、細くて長い葉っぱだよね。葉っぱ、全然似てないよ。



コウヤマキは、葉は全く似てないのだが、幹がヒノキによく似ているんだ。
林の中では、葉は上のほうについていて見えにくいことが多いからね。


つまり、木曽五木は、全部ヒノキと間違えやすい木っていうこと?


その通り。ヒノキに似ているから「木曽五木」といってよい。
大切なのはヒノキだった。
村人たちが「間違って伐りました」と言い訳できないように、似ている5種を一括して伐採禁止の木(停止木:ちょうじぼく)にしたのさ。


それって、いつの時代の話?


木曽五木を定めたのは江戸時代の中ごろのこと。
それまでに木曽谷では伐採が進んで、ヒノキ資源の将来が危なくなってきた。
そこで、木曽谷を管理する尾張藩は、巣山(タカ狩りのタカの巣があるという名目)や、留め山といった禁伐の保護林を設けたんだ。
でも、それ以外の山でも、村人たちのヒノキの伐採は禁止。
違反すると「木一本、首一つ」という厳罰が待っていた。


どうしてそんなにヒノキを保護したの?


建築用材として最高級だから。
宮殿、お寺、お宮などの建築材、そして彫刻の材料としてね。
真っ直ぐな材で、軽くて強い、つやと香りがある、世界第一級の木材だといえる。
有名なところでは、伊勢神宮の御用材があるね。


伊勢神宮は小さい頃に行ったよ。



うん、行ったね。
あのお宮さんの建物や御神体を入れる器に使われるヒノキは、木曽谷から伐り出されるんだよ。
それにまつわるお話は、また別の機会に。

YOSHIYA TADAKI 's web site 森林雑学研究室 Stories of Forest Ecology


 



1本なの? 2本なの?
ヒノキとサワラの合体木。




葉のウラにY字模様発見。
ということは・・・





こちらはアスナロ、かな?




木曽・赤沢自然休養林の森林鉄道。




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夏休みに行った信州の森林で、「木曽五木」というのを見たよ。

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