只木良也森林雑学研究室 本文へジャンプ

 
2010.05
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

近所の神社のフジが満開になったよ。

 

  swpochiバックナンバー






取材中です。




京都・上鳥羽のノダフジ




上賀茂神社裏山のヤマフジ。伸び放題??




ノダフジとヤマフジの巻き方






寺院絞め殺し?
アンコール遺跡群のタプロム寺院(カンボジア)。




これが年輪かなあ?


 

  近所の神社のフジが満開になったよ。連休中はお神楽があって、お店も出て大賑わいだった。

今年の連休はいいお天気だったねえ。連休に入る前だけど、じぃじ先生も京都の上鳥羽というところへ出かけて、見事なフジを見てきたよ。

フジって、昔から日本にあった木なの?

一般的に今、フジと呼ばれているのは、ノダフジとヤマフジなんだが、どちらも日本に自生しているよ。

古くからあるんだ。じゃあ、平安時代、勢力を誇った藤原氏っているよね。あの名前、関係あるのかな?

ああ、なるほどなぁ。断言は避けたいところだけれど、当時の日本にも、フジがたくさんあったということが、遠まわしには言えかもしれないね

ノダフジとヤマフジの違いは何なの?

ノダフジは、花は小型だが房は長い。だいたい20〜60cmくらいとされるけど、中には九尺藤と呼ばれ2m近くになるものもあるそうだ。伸びやすくて棚仕立て、いわゆる藤棚にしやすい。
一方、ヤマフジは、花が大きくて香りが強い。花の房は短くて10〜20cm程度。ノダフジより開花が早い。
・・・といろいろあるけれど、一番の違いは、ツル(蔓)の巻き方だね。ノダフジは右巻き、ヤマフジは左巻きなんだ。

右巻き? 左巻き? 

握りこぶしを作ってごらん。親指以外の4本を「絡まれる幹」とみなすと、右手のコブシの親指が右巻き、左コブシの親指が左巻きのツルの育つ方向を表す。
絡む幹に対して、右巻きで登っていくのがノダフジ、左巻きで登っていくのがヤマフジ。わかるかな?

その巻き方って、種類で絶対に決まってるの? 
ご近所さんのフジ、複雑にからみあってて、好き放題、伸びやすい方向に絡みついていってる感じがするんだけど・・・。
たとえば太陽に向かって伸びるとかいうことはないのかな?

ないんだなぁ。
ノダフジとヤマフジって似ているけれど、実は、植物分類上は別の種なんだ。
種が違えは、右巻き、左巻きは違っても当たり前かもしれない。むしろ、それが分類の根拠にもなっているんだよ。


そのノダフジとヤマフジを交配したらどうなるの? まさかまっすぐ伸びる・・・なんてことはないよね。

交配とは、またおもしろいことを言い出したなぁ。
そう、まっすぐ伸びる・・・と言いたいところだけど、そうはならない。可能性としてどちらもあり、としか答えられないね。
どちらの因子が強く出るかによって決まるだろう。


残念! じゃあ、絡みつく木がなかったらどうなるの?

絡みつくものがなければ、それに出会うまで、地を這っているよ。

そういえば、カンボジアのアンコール遺跡では、寺院の石組に絡みついてたなぁ。

そうだね。あれはフジではないけれど。
熱帯地域には、その名も恐ろしい「絞め殺し植物」というものもあるよ。それに絡みつかれた木が、しまいには枯れてしまうんだ。
遺跡だって、絞めつけられて石組が崩壊することもある。
アンコール遺跡のタプロム寺院は、あえてジャングルの中で発見された様子のままにしているが、ほかの遺跡では遺跡を守るために植物を退治してあるはずだ。

じゃあ、フジも、山の木にとっては困りもの・・・?

まあ、フジの元気がよすぎれば、絡みつかれた木は、日陰にされたり、幹を圧迫されたりして、弱ったり枯れたりする。
でも、山でもそれほどひどい例はないよ。かえって、その土壌にはプラスのはず。フジなどマメ科の植物の根には根粒菌という菌が共生し、空中の窒素を取り入れて土を肥やす働きをしているからね。


フジが巻きつくのに好きな木ってあるの?

好きかどうかは、はっきりは言えないけど、文学作品では、マツとフジの取り合わせが多いかな。源氏物語、枕草子にも記述がある。

そうかぁ。
・・・あれ? ツルの話は出たけれど、幹とか枝は? 幹がなかったら年輪はどうなるの? 根っこもどうなってるんだろう?

あははは。フジは、ツルと呼ばれる部分が幹であり、枝なんだよ。
太い部分は幹で、はっきり見えないかもしれないが年輪はある。それから分かれて出るのが枝だ。
根っこはちゃんとした根っこ。伐れば「ひこばえ」が出てくる。


年輪、あるのか。良かった、なんかちょっと安心した(笑)。
フジのツルって編んで籠を作ったりしない? 前に見たことがあるような・・・。

するする。籠にしたり縄の代わりに使ったりね。平安時代には、繊維を使った「藤布」という布もあったとか。フジは、とても便利な植物なんだ。
江戸時代の儒学者・本草学者の貝原益軒。その研究書『大和本草』には、フジの性質や効能が書いてあるんだが・・・


 葉は若葉の時に食べると良い。
 実を炒って酒に入れれば腐らない。
 逆に、腐った酒に炒った実を入れれば味が戻る。
 生のまま もしくは 陰干しした花は、酒の酔いをさます。
 花と酢で、衣服や道具に生えたカビが退治できる。

・・・とまぁ、びっくりするほど挙げてある。


すごい! 何にでも役に立つんだ。花もきれいだし、万能選手って感じだね。

 

 

swpochiページの先頭に戻る

swpochiじぃじ先生 ちょっと教えて バックナンバー

 

   


 
Stories of Forest Ecology  只木良也 森林雑学研究室
当サイト内の文章・画像等の無断転載はご遠慮ください。©2009-2017 YOSHIYA TADAKI All Rights Reserved.
inserted by FC2 system