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2010.07
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

タケとササって、どう違うの?

 

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お食事中、失礼します。





モウソウチクのタケノコ。「賞味期限」はとっくに過ぎた。





農家裏山を侵略中のタケ。勢力拡大中。





いろいろ用途はありそうなのにね・・・。





うっそうとしたモウソウチク林。





一方こちらは、情緒あふれる遊歩道。マダケ林と竹垣にやさしく包まれる。


 

 

七夕、今年は雨になっちゃったね。小さい頃タケに短冊書いてぶら下げたなあ。・・・あれ? 歌は「ササの葉さらさら」だよね。タケとササってどう違うの?

よく似ているんだよなぁ・・・。葉の細長い形も性質も。だから、とりたてて区別しないこともあるんだよ。
土の中で地下茎が横に伸びていくのは同じだが、そこから芽が出て地上に出た茎、それを稈(かん/禾偏に旱)というんだけど、その育ち方が異なる。
タケの稈は、はじめは鞘で覆われているが、成長するにつれ鞘がはずれてむき出しになる。鞘とはいわゆる竹の皮で、鞘で覆われているというのはタケノコのあの姿のことだ。
一方、ササの稈も鞘で覆われているけれど、こちらの鞘は途中ではがれることはない。ササそのものが枯れるまで、鞘は稈を覆ったまま残るんだ。
あとは背丈。タケはササに比べて背が高いね。
このほか、熱帯には狭義のバンブーと呼ばれる種類がある。これはちょっと特殊で、地下茎が横に伸びずに株立ちとなるんだ。


じゃあ、パンダが食べるのはどれ? 背が高いからタケかな。

さぁて・・・? テレビや動物園で見る限りはタケかな。「パンダ」という呼び名の由来は、ネパール語の「竹を食べるもの」を意味する語だそうだよ。
でも、タケもササも共にイネ科の植物だから、両方食べるのかも。味も似ているかもしれないよ。


60年に一度だったっけ? タケって、一斉に開花して枯れるって聞いたことがあるんだけど・・・。タケが主食のパンダにとっては、大ピンチだろうね。

お、よく知ってるな。タケの寿命は60−120年といわれている。その寿命近くになると、枯れる前に花を咲かせるんだ。
それは種類によって異なっていて、モウソウチクでは72年という実際の観測資料がある。120年といわれるマダケについての証拠は、残念ながらないんだけど。


う〜ん・・・。でも、わざわざ花を咲かせる理由は? 毎年花が咲かなくてもタケノコは生えてくるんだから、子孫は残せているでしょう?

いや、やっぱり子孫を残すためだよ。
地下茎でつながっているのを1個体として考えれば、毎年の成長は、新しいタケノコを出していればまかなえるが、寿命が来れば全体が枯れてしまう。だから、その前には花を咲かせて子孫のタネを残さなきゃならない。
また、気候変動をはじめ環境変化など、生命の危機を感じると、種の存続を考えて花を咲かせ、タネを残すともいわれている。


タケには年輪はないの? 

実はないんだ、年輪は。確かに60年とか120年とか、寿命はある。
でも、地上に出ている稈の部分が成長する期間は1年(実際には20日あまり)に限られているんだよ。その後は伸びも太りもしない。したがって年輪はできないんだ。


え!? 1年であんなに伸びるの? 結構高くなるよね。

タケノコの伸びるスピードの日本記録を教えよう。
24時間に、なんと、マダケで121cm、モウソウチクで119cm!


ええっ!? ・・・そういえば前にテレビでやってたなぁ。竹林にカメラを置きっ放しにして撮影したのをあとで見たら、タケノコが伸びて、あっという間に画面からはみ出しちゃったっていうの。

うん、わかるわかる。ちなみに、じぃじ先生が学生時代に先生から聞いた当時の日本記録は、24時間で108cmだったよ。


記録がのびてる!(笑) でも、節のところはそんな速さで伸びた感じがしないよ。

節についてはねぇ・・・。そうだ、春に若竹煮をよく食べるだろう?

ばぁば特製の若竹煮は絶品。特に、穂先のところがおいしいんだ〜♪

そのおいしい穂先を縦に切ってあるのを見ると、棚のようになっている。
あの隙間が節の間なんだよ。節間(せっかん)というんだけど、タケノコが伸びるにつれてこの節間が広がってあの筒状になる。
つまり、タケノコは頂上だけが伸びるのではなくて、全体が伸びるんだ。


普通の木と違うんだね。生命力たくましいなぁ。 

そうなんだ。それこそが最近、里山が抱える問題でもあるんだ。
タケは放っておくとどんどん伸びてしまう。タケノコや竹材を収穫しなくなった国内の竹林は、多くのものが放置状態で「竹やぶ」化し、隣接のこれまた放置状態の雑木林や、手入れ不足の人工林を侵略することになってしまった。
地下茎を伸ばして、それまで無かった場所にある年突然タケノコを発生させる、樹木の上にたちまち枝葉を茂らせてしまう、なんてことがあるんだよ。


そんなんじゃ、もとの林がなくなっちゃう。どうして、竹林は放置されてしまったの? どんどん生えるなら、どんどん使えばいいんじゃない? タケノコだっておいしいし、使い道はいろいろあるよね?

プラスチックなど他の化学素材の普及につれて、タケが使われる機会が減ったこと。それから製品もタケノコも外国産が増えたこと、などが考えられるね。
背景には、製造と流通のコストという経済の事情がある。日本製は高価になりすぎて、採算が合わないことが少なくない。京都産の朝掘りタケノコなんか超高級品なんだよ。

そっかぁ・・・成長力がたくましいのも、ある意味、問題なんだね。でももったいないなぁ。日本のタケ、何とか活用できるといいのに。
たくましいといえば、幹がすごく太いのもあるよね。

幹の太さは種類によって、いろいろだね。
マダケ、 モウソウチク、 ハチク、 ホテイチク、 キッコウチク、 ホウライチク、 シホウチク、 ヤダケ・・・わが国には、細かく分けると何十種類もあるが、代表的なのは、マダケ、 モウソウチクの2種。幹が太いのはモウソウチクだ。

じゃあ、かぐや姫のいたのはモウソウチクの方だ。

・・・と思うだろう? 
絵本でも、ものすごく太いタケの中ですやすや眠ってる姿が定番だ。
でも、実はモウソウチクが琉球から鹿児島へ入ってきたのは江戸時代、1736年。日本全国に広がるのはそれ以降というのが定説なんだ。


え? 『竹取物語』ができたのは平安頃って、古典の授業で・・・。

うん。そうなんだよ。だから、「竹取の翁」が山でとっていたのはマダケのはず。

でも、それだと細くて、かぐや姫が入れないよ。

姫の大きさ、どれくらいだったか覚えてるかな?

えっと・・・「三寸ばかりなる人 いとうつくしうてゐたり」だったっけ?

そう。3寸といえば約9cm。
マダケだって、それくらいのサイズのものはザラにある。


良かった。かぐや姫、はいれて安心した(笑)。

 

 

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