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2010.09
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

マングローブ、どこから根っこ?

 

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なんとも不思議な形! 根がタコの足みたい!







潮が引いたときの様子。満ち引きがないと育たないんだって。
6月に登場した画像、再び。








根っこ、水の中・土の中。







枝で育った新芽が、地面に突きささって根を張る・・・って、こういうこと?







ベトナム戦争中の基地を再現。
机の上には地図。どうやら作戦会議中らしい。







建材のほか、用途はいろいろ。








 

 

ベトナムでマングローブを見たよ。
日本では見たことのない、変わった形! 写真なんかで知ってはいたけど、びっくりした。

そうだね。おもしろい形だね。
マングローブは、熱帯・亜熱帯の特徴的な風景で、なんとなく外国の風景のイメージだけど、実は、日本でも鹿児島以南、沖縄などでは見られるんだよ。


そうなの? あ、暖かい地方だからか。

うん。沖縄は亜熱帯に属するからね。
種類は多く、日本だけでも、オヒルギ・メヒルギ、ヤエヤマヒルギなど6種あるんだよ。
ちなみに、マングローブは日本では紅樹林と呼ばれる。これは材の色が赤いことに由来してのことだ。


海水に浸かって生えているよね。
木が、あの塩からい海水の中で育つっていうのが、なんか不思議。海水だと、木がダメになっちゃいそうなイメージがあって・・・。

ああ、そういう疑問があるか。なるほどなぁ。じぃじ先生にはあたりまえのことだったけど。
木によって、育つのに好む環境はいろいろだよ。とはいえ、やっぱりマングローブが特殊・・・つまり、他に類似の樹種が見られない、独特の木であることは確かだけどね。

海水でないと育たないの?

いやいや、そういうわけじゃないよ。
確かに、マングローブは淡水と海水の混じる塩分を少し含む水域(汽水域)に見られる。でも、とりたてて海水を好むというわけではなくて、淡水でも育つんだよ。
生育条件の第一は、干満の差があるところだ。海には潮の満ち引きがあるだろう? だから河口や海岸によく見られるんだ。


そっか、海水・淡水、どっちでも育つんだ。その水を吸い上げるのが根だよね。
すご〜く単純なことなんだけど・・・どこからが幹で、どこからが根なの?
普通の木は土の上に出ている部分が幹、土の中が根じゃない? でもマングローブって、水に浸かってるし・・・。

それはいい質問だな。うん、確かにわかりにくい。専門的にも一概には言えなくて難しいところだ。
でも、まぁ一般的には、すっと1本になっているところが幹、タコの足のように分かれているところが根と思っていいだろう。


水に浸かっているところがタコの足みたいなのはわかるけど、その下はどうなっているの?

「その下」って?

土の中。生えてるんでしょう?

ああ、そういうことか。
土の中ではもちろん、他の木と同じように、根を張っているよ。
水の中にあって不安定な体を支えるための「支持根」が、陸上の木よりも発達しているんだよ。


そっか。潮の満ち引きがあるってことは、流れがあるってことだもんね。流されないように、ふんばらなきゃいけないわけだ。

そう。
根に関しておもしろいのは、幹との重量比の話。


重量比?

1本の木において、木の根と幹(地上部)の重さをそれぞれに量って比率を見る、という研究データがある。
陸上に生えている木は、根:幹の重さの比が、1:3〜1:4。
ところがマングローブは、根:幹=3:1程度なんだよ。


根が重くなる? あ、見た目のとおり、他の木より根が多いんだ!

そう。数値が逆転するというわけだ。
もうひとつ根についての特徴は、非常に根付きやすいということ。


根付きやすい? ・・・えっと、そもそも、どうやって子孫を増やすの?

うん。おもしろいんだ、これが。
細長い棒のような実(果枝という)が、親の木の枝についたままで発芽する。それがある程度まで育つと枝から落ちて、土に突きささり、根を出すんだ。
土に突きささりやすいように、実の先は矢みたいに尖がっているんだよ。


ちゃぽんって、水の中を潜っていくの? 土のあるところまで。

ちがうちがう。基本的には潮が引いているときに落ちてささるんだよ。
潮が満ちているときに落ちたものは、流されて、他の場所で根付くんだ。
で、「根付きやすい」って話だけど、文字どおり、すぐ根が付く。もちろん種類によって違いはあるけど、早いものでは土に到達して数時間で、根を張り始めるようだよ。

数時間で!? すごいなぁ。それも、不安定な水の中で生きていくための知恵なのかも。
花は? どんなのが咲くのかな。

開花時期については、生育地の多くは日本のように四季があるわけではないから、年中。寒暖の差のある場所では、やはり気温が上がったとき。
ただ、どんな花かというと、う〜ん・・・。じぃじ先生は30年以上前に熱帯に調査で出かけたんだけど、花の印象がないんだよなぁ。
色は白とか黄色とか、淡い色だと聞く。だから、あまり目立たなかったのかもしれないね。


前に、ベトナム戦争があったというマングローブの森に行ったとき、戦争中は、うっそうとした中に基地を作ったというガイドさんの説明があった。
実際に様子が再現されている場所があったけど、あの小屋も、マングローブの木や葉で作られていたのかな。

たぶんそうだろう。地元の人にとっては「手近にある木」。だから、薪(たきぎ)や材木をはじめ、何にでも使われる。
湿地に群生して見通しが悪いマングローブの森は、隠れるにはもってこいだ。だからベトナム戦争では・・・


枯葉剤が撒かれた。哀しい歴史も伝える木なんだね。

そう・・・。
そんなよく茂って、空から土が見えない森の状態のことをなんと言うか知ってるかな?


「鬱閉(うっぺい)」だよね。
じぃじ先生のひとりごと(blog)、ちゃんと読んでるよ(笑)。

 

 

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