只木良也森林雑学研究室 本文へジャンプ

 
2011.03
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

今日のおやつはバームクーヘン。

 

  swpochiバックナンバー






左、黄が「今年の木」。




黄の1年後、緑。




赤は、黄から2年後。



黄から数えて、→緑→赤→青で、4年目が経って茶に。




「あ、年輪だ」




同心円、ぐるぐる。




ラワン材。ほんとだ、木目がはっきり見えない。
ちなみにコレは引き出しの底板。




本物に近い?




柾目のバームクーヘン。

 

 

  今日のおやつはバームクーヘン。このお菓子は、木の年輪がモチーフなんだよね。

そうだね。ドイツ語でバームとは木の幹、クーヘンとはケーキ。じゃあ、今回は年輪の話をしようか。
木の幹の成長の様子、年輪ができる仕組みを、模型を使って考えてみよう。
まずは、一番小さい黄色の円錐形。これを、表の皮をむいた「今年の木」としよう。

皮をむく? この模型は、私たちに見えている皮の内側ってこと? これの外側を表皮が囲んでいるってことだね。

そう、内側だ。その点を頭に入れおくこと。いいかい?

うん。

さて、黄色い「今年の木」は、1年が経つと直径方向、樹高方向ともに成長する。簡単に言えば、太って背が高くなる、ということだね。
この「1年後の木」をあらわすのが、緑の円錐形。つまり、木は黄色から緑の大きさに成長したということだ。
次の年になるとまた、太って伸びて・・・。


赤の大きさになる。その次は青、そのまた次は茶色。
「太って伸びる」のくり返しだね。

そう、そうやって木は大きくなっていく。
成長の仕方としては、前年の幹を、翌年の幹がすっぽりと覆っていく、というイメージなんだけど・・・。

覆って、また覆って・・・だから、樹齢を重ねれば重ねるほど幹が太くなっていくってことなのか。

そう。その外側が樹皮ってわけだが、「若い頃、木に名前を彫った。何十年ぶりで訪れたら木が大きくなっていて、名前がぐんと上の方にあった」なんて話を時々聞くけれど、あれは実は違うんだ。
木の成長の仕方からいうと、彫った名前の位置(地面からの高さ)は変わらないはず。
幹が太るわけだから、もちろん、文字が横長に変形することはあるけれど。

あ、それって『おおきな木』だ。

おおきな木?

小さい頃に読んだ絵本で、少年と木の物語(シェル・シルヴァスタイン作)。木の幹の、根元に近いところに少年がハートマークを彫るの。
そのハート、話が進んで少年が年老いた場面にきたときにも、同じところにあるんだよ。上の方に動いてなかった。

ええっ!? そんな本がある!? 描いた人、ちゃんとわかっていたのかなぁ。それは見てみたいね。
では、ここで、数年成長した木(茶)を伐ってみようか。この模型に、水平にノコギリを入れたと想像して、その切り口を見れば・・・。

あ、年輪だ。 

そう。何重もの同心円が見える。
円は1年ごとの成長の足跡、すなわち年輪というわけだ。


円から次の円までが1年で成長した分ということだよね? どうしてそんなにくっきり線が入るの? 
木って、1年をかけて少しずつ、徐々に成長しているんでしょう? 急にポンッと太るわけじゃないよね?

いい質問だ。それは、成長の度合いが季節によって違うからだよ。
幹は、春から夏の気候の良い頃によく成長する、つまりどんどん太るんだ。そのため、この時期の成長跡の色合いは薄い。
一方、秋から冬の寒い時期になると成長が低下し、やがて停止。この頃の色合いは濃いんだ。
春夏に成長した部分を春材、秋冬の部分を秋材と、それぞれ呼ぶ。
つまり、年輪は寒さを経た証拠で、1年毎の春材・秋材の成長のくり返しが、同心円で描かれる年輪となって現れるというわけ。


あれ? じゃあ、1年中暑くて寒い季節が来ない熱帯では・・・?

どうなると思う?

木に年輪は・・・もしかして、ない?

まさしく、そう。
年間を通して暑(暖か)くて寒い時期がないというのは、すなわち成長が止まる時期がないということ。そうしたところでは、はっきりとした年輪ができないんだ。
ラワン材って聞いたことがあるかな? 
熱帯に育つ広葉樹の材木を言うのだけれど、年輪、すなわち木目が見えにくいというのが特徴だよ。

年輪、というか木の成長には気候が大きく関わっているんだね。

そう。年輪幅の違いも、また気候の影響によってできたもの。
「今年は冷夏」「暖冬で例年より過ごしやすい」とか聞くだろう?
毎年、四季はめぐってくるけど、春なら春で毎年同じ気温だったり湿度だったりというわけではない。だからその年の気象状況によって、幅が広かったり、狭かったりするんだよ。
その変化パターンから、古い建築物の材の年代を推定することも行われている。

年輪って、木の成長記録なんだ。

前に、斜面に生えている木の年輪幅の話をしただろう。

えっと、幅の広い方が南って思い込むのは間違い。斜面の状態が影響しているってことだったよね。

そう。あれも、その木がどういう状態の斜面で育ったのかをあらわす、成長の記録だよ。

そっか。じゃあ、このバームクーヘンの成長記録は?(笑)

あははは。でもこれ、本物の伐り株に近いなぁ。幅が均一でないところなんて、よくできているよ。
成長の様子を測定するのに、木の幹から、一定の高さごとに、それこそ「バームクーヘン」のような断面を取る、という方法がある。これは森林雑学ゼミの扱いとしようか。

バームクーヘン、そろそろ、切らない?

そうしよう!
その前に、ひとつチャレンジしてみよう。切ったら、うまく柄が出るかな・・・。


柄? あ、柾(まさ)目と板目? 

そう。学校で習ったかな? それぞれ材木になったときの木目の呼び方だ。
さてと・・・お、出た出た。円の中心を通って、年輪を断ち切るように切ると、その垂直面には直線に近いシマ模様。これが柾目。
板目を出すのは、お菓子ではちょっと難しいな・・・。
本当の材木(丸太)では、上ほど細くなるから、中心を通らない線で縦切りすると、タケノコのような形や線が波打っているような模様になる。それが板目だね。

勉強になるお菓子だなぁ。
じゃあ、この柾目、いただきまーす。

 

 

 

swpochiページの先頭に戻る

swpochiじぃじ先生 ちょっと教えて バックナンバー

 

   


 
Stories of Forest Ecology  只木良也 森林雑学研究室
当サイト内の文章・画像等の無断転載はご遠慮ください。©2009-2017 YOSHIYA TADAKI All Rights Reserved.
inserted by FC2 system