ミモザアカシア。わたしが本物の「アカシア」です。
わたしはニセアカシア。
白い花を咲かせます。開花まで、いましばらくお待ちください。
切手にもなった『この道』の歌。
♪あかしやの花が咲いて・・・ないぞ?
モリシマです。
ぐんぐん・すくすく伸びます。元気です。
本物のアカシア属、生長抜群、木材用として、九州など暖地に。
フサでございます。
私が「ミモザ」と呼ばれることもありますのよ。こちらも、本物アカシア属、木材用として。
ごめんなさい、本物より有名になっちゃって。
by ニセアカシア
今年の開葉は4月末でまだこの程度・・・
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じぃじ先生のブログ(→110330ひとりごと)見たよ。ユキヤナギみたいな黄色い花の写真、きれいだったなぁ。
ご近所の立派なミモザアカシアのことだね。3月ごろまだ寒い中で満開になっていた。
でもね、ユーミンの歌の『Acacia』には、「銀の花」って出てくるの。
黄色いのに銀っておかしいと思って調べてみたら、アカシアの花って白なんだってね。しかも花が咲くのが5、6月。違う木なの?
そのとおり。同じ名だが、まったく別物。同じマメ科の樹木だが、属も違うんだ。
フジに似た白い花の咲くアカシアの本名はハリエンジュ、またの名をニセアカシア。アメリカ原産で、明治時代に日本へ入ってきた。
やせ地に強く、持っている根粒菌が空気中のチッソを採り入れて土を肥やしてくれるから、ハゲ山の造林、砂防造林など、山地にもたくさん植栽されてきた木だよ。園芸用としても人気が高い。
ちなみに学名はRobinia。その外国名は、プソイド・アカシアという。
プソイド?
似て非なるもの、という意味のドイツ語だよ。
だから、ニセモノのアカシアで、「ニセアカシア」・・・なんかかわいそうな名前だなぁ。
「ニセ」を嫌ったんだろう。ずっと「アカシア」で通用してきたんだよ。
1960年代の流行歌『アカシアの雨がやむとき』も、白い花のニセアカシアを歌っている。
♪この道は いつか来た道・・・も、白い方?
♪あ〜ぁ そうだよぅ〜、ニセアカシアのことだよ〜
あははは。じぃじ先生の好きなアカシアの蜂蜜。あれもニセの方?
うん、そうだ。蜂蜜屋さんによると、(ニセ)アカシアの蜂蜜は最高級らしいよ。
札幌の街路樹で有名なのもニセアカシアだね。
じゃあ、黄色い花の方が“本物”のアカシアなんだ。
そう、学名はAcacia。そのものズバリだね。オーストラリアが原産だ。
本物アカシアは、数百種もあるといわれているが、ヨーロッパには早く入って、花で有名になったのが、ミモザアカシアだよ。
「ミモザ」って、なんだかパリとかシャンソンとかのイメージ・・・。
ああ、そういえば、昔、『ミモザ館』というフランス映画があったなぁ・・・。
本物アカシアは日本へ入るのが遅かったんだ。それが、1950−60年代に、成長が早いと関東以西の暖地に植えられた。モリシマアカシア、フサアカシアの2種がその代表種。
成長が早いって?
やせ地でも5年で10m程度になる。植物生産力日本記録はモリシマアカシアだろう。植栽後5−10年で20−30年のスギの最大生産力の5割増しぐらいあったんだから。
もうひとつの特徴は重さ。木って普通は水に浮くだろう?
ところがアカシアの生材は重くて水に沈むんだ。だから、イカダに組んで搬送することができなかった・・・なんて、うそのような失敗談も聞いたことがある。
水に浮かない木があるなんてビックリ。ニセアカシアのほうは浮くの?
もちろん、浮く浮く。
それにしても、ニセアカシアとアカシア。ニセモノが本物を超えちゃった感じだなぁ。あ、メタセコイアの名前も、似た経緯じゃなかった?
お、よく覚えてるな。
メタセコイアの「メタ」は、「新しい」とか「後の」といった意味。1930年代にセコイアに似た樹木の化石が日本で発見され、それに付けられた名がメタセコイアだ。
似てるから「ニセ」だったり「メタ」だったり。名は体をあらわす、ってことかな。
名は体をあらわす、か。
コバノミツバツツジ(→110421ひとりごと)なんか、その王道だろうな。1カ所から3枚の小さい葉が出るツツジ、だから「小葉の三つ葉ツツジ」。
カラマツは落葉することからついた名。スギもヒノキもマツも日本の針葉樹はみんな常緑なのに、葉を落とすとは舶来物みたいだなぁ・・・で、カラ(唐)マツになったんだ。
ヒノキになりたいと憧れたからアスナロとか、猿が滑りそうなくらい幹がつるつるだからサルスベリとか、そういうのもあるじゃない?
アスナロにはストーリーがあるよね。ヒノキに似ていてヒノキにあらずという木の思い。
サルスベリは木登り上手なはずの猿がつるつると・・・うん、楽しい名前だ。やっぱり、いずれも名は体をあらわしてるといえる。
そういった例、木の名前には、実はたくさんあるんだよ。
そうなの!?
かたちを表すもの、性質を表すもの、物語性のあるもの。
思いつくだけでも・・・うん、結構あるな。学術的なことばかりでなく、文化的な背景を持つものもね。
うわぁ、それってやっぱり、木が身近な存在の日本だからなのかな。
ねぇ、じぃじ先生。そういう話、もっと聞きたいな。ちょっとピックアップしといてね。
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