桜林に来たよ。
ここ、春は見事だよね。ライトアップもすごくきれいだった。
樹種はソメイヨシノ。ソメイヨシノは、江戸末期に江戸の染井村で改良によって作りだされた品種。
実のところ「サクラと言えば吉野でしょ」ということで「ヨシノ」と付けられただけで、吉野山の桜とは関係ないんだ。
あははは。イメージ戦略だ。
エドヒガンなどは樹齢千年などの大木もあるが、ソメイヨシノの寿命は一般に数十年。それが今、あちこちで寿命を迎えているんだ。
大変だ。 一斉に寿命を迎えるってことは、同じ時期に植えられたってこと?
そのとおり。戦後同じ時期に植えられたものが多いんだ。
それは植物園の歴史ともかかわる話なんだが・・・。 この植物園は、戦後にGHQに接収されて将校たちの住宅地となっていたんだ。その間、住宅や軍の施設、学校などをつくるために、園内の樹木は伐採。
戦争前に25,000本あった樹木が、1957(昭和32)年の返還時には、わずか6,000本になっていたというよ。
ええっ? そんなに減った!?
ようやく戻ってきた植物園を府民に見せようと一般公開されたのが、1959(昭和34)年の春。
学生だったじぃじ先生も行ったよ。今、西洋庭園のあるあたりに、たくさんの花がきれいに咲いていたのを覚えているなぁ。
その後、府民の意見を広く聞きながら温室などの整備を進め、ようやく本格的に再開園したのは1961(昭和36)年のことだ。
そんな歴史があったとは・・・波乱万丈だなぁ。
このサクラは、その頃に植えられたんだね。
そう。それが一斉に弱ってきているんだ。
あ、説明板がある・・・「空気スコップでサクラの保全中」?
弱ってきた樹勢を回復するために、根の周りの土の改良をするエアースコップ法による対策実施中。エアースコップは、圧縮空気で根っこのまわりの土を除去するので、根を傷つけないという。
・・・ふ〜ん、発掘作業でぱふぱふやるみたいなことだね。
元気になるといいなぁ
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