3林業校交流協定調印式、2015年11月14日。各校校長そろって。
以下、今年の3校連携授業より。まずは混成チームで「里山紀行」。
老人ホームのバイオマスボイラー見学。
チェーンソーの早組み立て競技。素早くチェーンを装着して、運転できるようにする。所要時間わずか20秒余り。
丸太の切り合わせ競技。丸太を上下から切り込んでいって、きちんと合わせる。すごい!
枝払い競技。丸太表面の赤塗料を塗った部分に、チェーンソーで傷をつけると減点!
丸太の薄切り競技。つまり、輪切りにした円板の薄さを競う。
薄切り円板並べてみたけど・・・残念、これではどれだけ薄いかがわからない!
伐倒競技。今回は,樹高15-20m、直径25cmのヒノキ。伐った木が、あらかじめ決めた範囲内(中央の赤ポール)に倒れないと失格。
郷土資料館の古い農家は屋根裏まで上がれ、囲炉裏にも火が。昼食は、ここのかまどで煮た豚汁で。
優勝して喜ぶ岐阜アカデミー。右は、優勝旗ならぬ「優勝斧」。林業校の会らしく。
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じぃじ先生、宮崎へ行ってきたんだってね。ブログで見たよ。
そう、「第22回九州森林フォーラム in 耳川」という催しで、「京都林業大学校の取組」をテーマに講演をしてきた(→2017.12.3ひとりごと)。
最近、林業大学校について話すことが多くなってきたみたい?
そう。それは今、日本中で林業校設立ラッシュだからだろう。きっかけは、2012年設立の、わが京都府立林業大学校なのではないかと。
問い合わせはいろいろなところから来ているよ。今回出向いた宮崎にも、再来年に九州初の林業校ができる。そのための意見交換もしてきたんだ。
兵庫県にもできたんじゃなかったっけ?
そう、兵庫県立森林大学校だ。今年の春に開校したばかりだよ。
ほかにも、2015年の高知、秋田、2016年の徳島、山形など、新設が相次いでいる。計画中のものも全て実現すれば、20府県に達するというよ。
あらら、京都林大のライバル校がいっぱい。でもじぃじ先生、ちょっと嬉しそう。
そりゃあ、林業学校が各地にできて、林業技術者の育成に力を入れるのは喜ばしいことだからね。
日本の林業は不況が長く続いているし、若手後継者は不足している。農山村は元気がないんだ。そんな中で、いいニュースじゃないか。 農山村の活性化、日本の活性化につながると思いたいね。
林業ブームなのかな。森林関連の税金についても、導入する自治体が増えているし(→2016.3ちょっと教えて)、2024年には国も創設するって新聞で読んだよ。
森林環境税だね。放置されている森林が多い現状を鑑みて、保全のためとするものだ。
森をこのままにしておくわけにはいかないって、気づいたんだね。やっと。
毎度のことながら、手厳しいことで(笑)。
ただ、林業校・学科等の新設は、近頃盛んに言われている地方創生からの動きだよ。それを受けて、日本全国で、若手後継者育成の短期大学校あるいはそれに類似の学校の創設の動きが、活発になったというわけだ。
それにしてもすごい勢い。みんな京都林大みたいな2年制のスタイルなの?
いいや、そうとは限らない。農業大学校の中の林業科とか、一般人向けの短期間の研修コースとか、技術訓練所風のものとか、さまざまな形がある。また、設立の目的や理念も、当然、府県それぞれだ。
しかし、林業の振興や山間地域の活性化、それを通じて雇用を創出し定住化を図ることは、共通の目的。皆で目指したいところだね。
なるほど。じゃあ、同じ目的をもつ学校同士、連携しなくちゃ。
そのとおり。共に充実・発展して行くために欠かせない。すでに全国ネットの林業短期大学校連絡協議会も発足した。 各校共通の課題として、学生への給付金財源、教育環境整備、各種資格取得等についての支援を林野庁に要望するなどの活動が始まっている。
早速動いているんだ。京都の林大も、長野や岐阜の学校と協定を結んでいるんだよね。
それそれ。よくぞ言ってくれました。
2015年、歴史の古い長野県林業大学校(1979年開校)と岐阜県立森林文化アカデミー(1971年開校、後改組)、そこに新参ながら京都林大が加わって、3林業校交流協定を結び、親交を深めているよ(→2015.11.23ひとりごと)。
長野林大には、じぃじ先生、今も時々教えに行っているよね。
そう。開校当初から40年近く講師を続けているし、京都林大の設立にあたってはいろいろヒントをもらった経緯もある。 実は、岐阜にも講師で何度か出かけたことがあるんだよ。
おお! じぃじ先生ネットワーク!
いやいや、いやいや。でも、関わりがあるだけに、この協定は嬉しいことだったなぁ。
もともとこの3校は学理・技術両立を目指そうという本質の部分が共通で、地理的にも比較的近かった。そのあたりが協定締結のベースになったんだ。
協定を結んで、具体的にどんなことやっているの?
主目的は、学生・職員の交流と人材育成取り組みの発信だ。そこを目指すため、まずは3校の交流・懇親を深めようというのが現段階で、チェーンソー技術や伐木の技術を競う「伐木選手権」を中心とした連携授業を行っている。
2015年に岐阜アカデミーを幹事校としてスタート、2016年は長野林大。2017年の今年は京都林大が幹事校で、11月16〜17日に、京都林大周辺とSTIHLの森京都(府民の森ひよし)で開催したんだよ。
伐木選手権・・・木を伐る大会?
そう、それは定番だ。でも、ほかにもいろいろ。毎年、幹事校が趣向を凝らすが、今年、わが校からの企画は「里山紀行」。
実際に山に入り、樹種名、目測による樹高・幹材積、水平距離、山の斜面の傾斜角度・面積といった、知識や実技について競うもので、3校混合で18班編成しての班対抗戦とした。
うわぁ、「紀行」ってのんびりしたハイキングじゃないの!? まるで実習じゃない!
おいおい、あたりまえじゃないか。技術者養成の学校だもの。
あ、そうか。そうだった。
ほか、老人ホームに設置されたバイオマスボイラーを見学させていただいて、その熱量を計算する、といったことも。 夜は、宿泊所の丹波自然運動公園トレーニングセンターで、「里山紀行」の成績発表・表彰。そして、夕食と交流会。
翌日は、いよいよ伐木選手権。競技はいくつかあるんだが、全てチェーンソーを用いて行う。
日頃の訓練の成果発表の場でもあるんだね。 ぶぃ〜んっていう、あのエンジン音が一斉に鳴ったら、迫力だろうなぁ。
うんうん、それはなかなかのものだよ。
競技としては、まずは「チェーンソーの早組み立て」、「丸太切り合わせ」。
「枝払い」では、丸太に差し込んだ棒を枝に見立て、それを切り落とす。
「丸太の薄切り」では、丸太を縦に置き、上の端から輪切りにしていく。
そして最後が「伐倒競技」。立木を伐採し、所定の方向へ倒す・・・などだ。
学生さんたち、一生懸命だなぁ。 とにかく技術が見事。身につけたものをフルに使って課題に挑んでいる様子って、ロボコンとかと同じだね。
それは嬉しい感想だな。ありがとう。 競技の成績はというと、優勝は岐阜で、長野・京都は同点2位だった。
盛りだくさんの2日間。
そう、いい時間だったよ。参加は3校合わせて、学生71名、職員15名。長野、岐阜の皆さんも楽しんでくれたようだった。
林業人として、森林という大自然と付き合っていくのは、自分独りでは難しい。仲間との協力・協調あってこそ可能だ。 この会は、地域の枠を越えた「仲間意識」に役立つはず。今後も継続・発展を願うばかりだね。
ふと思ったんだけど、京都林大って、社会人入学も多いんだよね。 一度社会に出てから学び直すって、すごいと思う。それだけに熱心なんだろうな。
そう、うちは開校当時から毎年何人かが入学してくるが、どの学校も社会人の数は増えているようだよ。岐阜は、その対応として研修科を設け、短期大学校からアカデミーに改組したのだから。
また、「林業女子」が話題に上がるが、女性も増えている。京都も毎年2〜3人が入学。全寮制の長野林大では、昨年女子寮を建てたんだ。
いろいろな分野に女性が進出できるように、環境整備が進んでいくのは嬉しいな。学会によっては男性ばかりっていうところもあるみたいだし。
学会といえば、今年3月の日本森林学会では、「森林・林業分野の人材育成と教育研究機関の役割―新しい林学を求めて」というテーマのシンポジウムがあった。 ここで、林業学校の役目やそのあり方が討議されたんだ。学会でもこうして話題にしてくれるのはありがたいことだと思うよ。
それってすごく励みになりそう! 各学校、がっちりタッグを組んで、日本の森を正しく美しく整えていってほしい。 じぃじ先生、いっぱい持っている知識や経験を、学生さんたちに存分に伝えてあげてね。
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