広葉樹のブナ。
いったい何枚、葉はあるのか・・・。
こちらは針葉樹のモミ。
葉むしり調査遂行中。
ええ、「これも科学」なんです。
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森林はどれくらい葉を持っているか。
20世紀前半にヨーロッパで始まったこの問題の調査研究は、1960年代にわが国で最盛期を迎えました。実際にサンプル木を伐り倒し、葉をむしり取って目方を測る、現場に取材に来た記者が、「これも科学ですか」といったような、馬鹿らしいけれども何か面白い「葉むしり」調査が全国的に進んで、同じタイプの森林ならば、持っている葉量はタイプごとにほぼ一定ということが明らかになりました。
そのヘクタール(ha)あたりの概数を示したのが、表です。
森林の平均的な葉量:『ことわざの生態学』(丸善 1997)より
森林の葉量を表すのに乾重量と葉面積があります。
乾重量とは、完全に水分を追い出した「絶乾重量」、生の葉は、その7−8割は水の目方で、乾燥度によって重量が違いますから、その基準条件として「絶乾」なのです。
葉面積は、葉の片面面積の合計、したがって、ha/haとかu/uで示せば、葉面積はその生育土地面積の何倍になるかということを表します。このことを葉面積指数といいます。
さて、葉量の最も少ないタイプの森林は落葉樹林で、葉量は3トン/ha。
ところがその一方で、わが国が属する暖温帯から亜寒帯の森林では、落葉・常緑・広葉・針葉樹林を問わず、年間落葉量、そしてさらに1年間に新生する葉量も、ほぼ3トン/haということが判ってきました。偶然でしょうか。
ここで3トン/haを「基本葉量」と呼びましょう。
どのタイプの森林でも毎年、基本葉量ずつ新しい葉を出し、基本葉量ずつ古い葉が落ちると考えます。とすれば、森林が保持している葉量は、今年出た新葉が何年枝に着いているか、すなわち、森林の持っている葉量は基本葉量にその樹種の葉の寿命を掛けた数値で表せることになります。
葉の寿命は、落葉樹は勿論1年未満、常緑広葉樹2〜3年、マツ類(除ハイマツ)2年、ヒノキ4〜5年、モミ・トウヒ類5〜6年です。
その目でもう一度表を見てください。
つまり、学年定員300人ならば、毎年300人入学、300人卒業で、全校生徒は小学校ならば6学年で1,800人、中学ならば3学年900人で、卒業式から入学式までの短期間を除けば、それぞれ何時も一定、と、たとえてはどうでしょうか。
(c)只木良也 2009
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