農業・農村の維持、それは自給食糧の維持。
白いごはん、日本人には欠かせない。
さて、どうなるか・・・
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太平洋諸国間の関税撤廃を目途とする環太平洋戦略的経済連携協定、すなわちTPP(Trans-Pacific Partnership)。
その参加に賛成・反対、天下の意見を二分して論議盛んです。
シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイ、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア、現在9ヵ国の広域経済連携協定交渉に、わが国が参加すると見て、メキシコ、カナダも参加意思表明。その参加の手段や条件設定には、新聞情報だけではわからぬ複雑なものがあるようで、何か不安感がつきまといます。
そんな詳細不明の状態ですから、あくまで感覚的なものですが、私から思うところを一言。
TPPが目指すのは、国境を越えた各国協力。投資、サービス、人の往来、医療などにも及びますが、その中心課題は貿易自由化、全品目の関税撤廃です。
そうなった時、一般に言われるのは、「工業産物などの輸出産業は売れ行き上昇間違いなし」。その一方で、安価な農産物がどっと輸入されてくるので「国内農林水産業はピンチ」ということです。
後者の代表はコメです。今、多くの農産物の輸入には、高率の関税をかけて、食料自給率を維持し、地域農業・農家を支える基幹作物の保護に努めているのが実情だからです。
ちなみに、わが国では今、コメは778%、コンニャクイモ1706%、落花生593%の高い関税(日本貿易振興機構による)、それでも食料自給率は40%だというのです。
TPPは木材にも大きく関係します。
木材は、昭和30年代末に貿易自由化されたことがあります。その後、安い輸入木材に押されて、国内林業の低迷・山村疲弊を招きました(→2011.12ちょっと教えて)。よく知られている話です。
この前例、よく思いを致してほしい。怖いことです。今回は農業・食料問題としてその繰り返しが予想されるのですから。
木材の場合は、産業低迷しても、山に森林資源は増えて蓄積されていきましたが、農産物の場合には、それはありません、待つのは、農業・農村の崩壊だけ。
関税撤廃、どっと押し寄せる安価な輸入食料、日本農業衰退・壊滅。
そこに将来、世界のどこかで、飢饉、戦乱など不測の(実はありうべき)事態が起こって、農産物輸入が途絶えたら・・・。
食料のない戦中戦後に空き腹抱えて育った年代の人間ですから、私には、将来の危機到来時にも、「食料は自給できる」体制が維持されていることこそ最低限必要、何にも勝る、と思えてなりません。だから、単純な考えと言われることは覚悟の上で、言いたいのです。
ヒトも動物です。まず食べ物が必要、それが確保された上での経済戦略、経済成長ではないでしょうか。
(c)只木良也 2011
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