今年、全国的な傾向として、例年よりウメの開花は遅く、サクラは早く咲きました。
京都でも1月から2月にかけて寒さが続き、例年2月中旬のウメの満開が、今年は3週間も遅くなりました。一方、サクラ(ソメイヨシノ)は、平年の4月上旬より、1週間から10日も早く満開となりました。
ウメもサクラも、春の開花に必要とするのは寒さです(→2010.3森林雑学ゼミ)。
前年夏にできた花芽は、秋のうちに花が開かないよう、ある一定の寒さの条件が満たされるまで休眠します。休眠から覚めた後は、毎日の気温の積み重ねで花が開きます。
その休眠打破の寒さの条件はサクラよりウメの方が緩いため、暖かい地方ではサクラよりウメの開花がずっと先行し、一方、寒い地方では、寒さ条件満足はともに早いがその後の暖かくなり方がゆっくりであるために、ウメとサクラの開花日の間隔は短くなるのです。
そんなことをふまえ、今年のウメとサクラの開花状況をこんな具合に考えてみました。
冬から春へ、寒い時期をA(1〜2月)、続く暖かくなってくる時期をB(2〜3月)とします。今年は、Aの寒さは例年より厳しく、Bでぐんと暖かくなったのが特徴です。
Aの気温が低ければ、休眠から覚めるのはウメもサクラも共に早い、しかし、A期間中、例年より低温が続いて、開花に必要な気温の積算量に達するまで時間がかかった、がウメ。
B期間に入り、例年より高温で、開花に至るに要した時間短縮、がサクラ、そして咲いた後、また低温の日が続いて、咲いた花は長持ちした、という次第。
その結果、平年に比べ、平均してウメ7〜10日遅れ、サクラ7〜10日早くに花が咲き、場所によってはウメとサクラ重複して花見ごろという場所もあったのでした。
それにしても、殊にサクラ。あまりにも早い開花でした。
東京では例年より10日早く、3月16日に開花宣言、その後の寒さのため花期は2週間を超えたとか。京都ソメイヨシノは3月22日開花で、平年より6日早く、遅かった昨年より12日も早い、というのが公式記録。この“想定外”の状況に、京都府立植物園は恒例のサクラのライトアップのスケジュールを1週間前倒しせざるをえなかったようです。
そして、我が家の愛する御所の桜松“寝ンネのサクラ”。本年撮影日4月4日は、ちょうど満開を過ぎたところでした(→2013.4.6ひとりごと)。ヤマザクラなのでソメイヨシノにいささか遅いはずなのですが・・・。ちなみに去年は4月10日で7分咲きでした。
(c)只木良也 2013
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