SDGsの重要なキーワードのひとつ「里山」。
JR篠ノ井線の車窓より。
森林はきれいな水を生んで・・・
それを私たち人類がいただく。
長野、木曽赤沢自然休養林。
|
|
SDGsという語を、ご存じでしょうか。 最近よく見かけますが、“Sustainable Development Goals”、すなわち「持続可能な開発目標」のことです。
これは、2015年9月、ニューヨークで開催の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中核となるもの。2016年から2030年まで15年にわたって国際社会が取り組もうとする共通の努力目標で、途上国・先進国全ての国に適用される広い普遍性を持つものです。
内容としては、169のターゲットを掲げ、それらが次にあげる17のゴールに集約されています(→外務省サイトに詳細)。
1)貧困、 2)飢餓、 3)保健、 4)教育、 5)ジェンダー、 6)水・衛生、 7)エネルギー、 8)経済成長と雇用、 9)インフラ、産業化、イノベーション、 10)不平等、 11)持続可能な都市、 12)持続可能な生産と消費 、 13)気候変動、 14)海洋資源、 15)陸上資源、 16)平和、 17)実施手段
これらについて何より大切なのは、全世界の人々が、自分が関係し狙えるゴールを目指して努力することでしょう。
日本政府は、全国務大臣を構成員とする「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」を設置し、2016年12月に「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」を決定しています。具体例を挙げれば環境省は、上記のうち12ものゴールが環境に関連するとし、とりわけ、12と13に重点をおいて国内外における施策を積極的に展開するとしています。民間レベルでも経営にその目標を導入するなど多様な取り組みが行われ、もちろん国際的にも様々な計画・活動が進行しています。
ただ、こうした動きについての成果はいまひとつのようで、残念ながら多くの分野の進行が、目標期間の2030年までに達成できるペースをはるかに下回っている様子。
この状況を受け、2017年7月 、国連事務総長であるアントニオ・グテーレス氏が、運動を加速すべく取り組みを強化する必要があるとする報告書を発表しています。
ちなみに私にとって最も関係するのは、15)陸上資源。
陸域生態系、森林管理、砂漠化対処、生物多様性等が含まれる項目であり、外務省の資料には「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」とあります。さて、何ができるのか。向き合っていきたいところです。
・・・という思いとは別に、この問題を考える際、どうにも拭い去れない懸念があります。“Sustainable Development Goals”を政府が訳した「持続可能な開発目標」のうち、「開発」という語の意味についてです。
ここでの「開発」は、わが国では誤解を生む可能性が大きいと、折にふれ語ってきました(→2012.8、2016.2森林雑学ゼミ)。SDGsのDevelopmentは「(人類の)発展・発達」が本来の意味。
SDGsの訳語における「開発」は、決して「山野を切開いて新用途に」の意味ではありません。この点、改めて声を大にして言っておきたいものです。
SDGs成功を期待しています。地球レベルでも、わが国レベルでも、正しい意味や本来のねらいから決して外れることなく、達成されることを願ってやみません。 これらが全うされないところに、人類の未来は無いのですから。
(c)只木良也 2018 |