工事のためにずっと覆われてたんだけど、ようやく幕が取れて姿が見えるようになったの。


立派だねぇ。
ケヤキは、ニレ科ケヤキ属の大木になる木で、冬は葉を落とす。もうじききれいに紅葉するよ。
同じニレ科の木には、ニレ、エノキ、ムクノキなどがあって、よく似ている。


私の住んでいる「街の木」もケヤキなんだって。


ケヤキは街路樹にもよく使われる木で、20m以上の大きなものも多いんだ。
有名な府中市や仙台市のケヤキ並木、それはそれは見事だよ。


渋谷のけやき通りとか、六本木のけやき坂とかも有名だよね。
県や市のシンボルツリーをちょっと調べてみたんだけど、埼玉、福島、宮城・・・ほとんどが東日本なの。
ケヤキって、西日本ではあまり人気がないみたい……。



ケヤキは、九州から青森県まで分布しているが、本来シイやカシの類よりも寒いところの樹木なんだ。
だから、東日本には多いのも当然のこと。
関東平野の景色を代表するもののひとつといってもいいだろうね。
街中でも、屋敷周りでもケヤキは多かった。
でもね、北海道には無いんだよ。


関東より寒いのに? 不思議だなぁ。
じゃあ、西日本では、ケヤキが少なくなるということ?


関東から東北にかけては、ほうきを逆さに立てたような枝張りが特徴の、背の高い目立つ木だけれど、それに比べて、東海地方から西のほうでは、背がやや低いんだ。それに、西日本では、他の木が多いこともあって、目立たなくなるようだね。

だが、大阪に高槻という地名があるけれど、この「槻(ツキ)」というのはケヤキの古い呼び方らしい。
だから、昔、よく目立つ背の高いケヤキがあったんじゃないかな、と。
大槻さんという人名も、うんと昔のご先祖の家の近くにケヤキの大木が……、なんてことも考えられるね。


歴史がある木なんだ……。


その通り。
福井県に鳥浜遺跡というのがあるが、ここの出土品を調べると、今から6500年前に、舟を漕ぐ櫂としてケヤキを使っていたそうだ。
これは、つい先ごろまで、ケヤキが荷車や人力車の梶棒に使われていたことに通じるよね。
そういえば、京都の東本願寺・・・。


小さいときに、よくハトに豆をあげに行った、大きなお寺だよね。


あのお寺の御影堂、今年の6月まで平成の大修理をしていたね。
あの建物は、建面積では奈良の大仏殿より大きいそうだが、その柱はケヤキだよ。
本願寺の信徒さんの多い日本海側には、良いケヤキも多く、そちらから信徒さんたちの力で京都まで運ばれたとか。


でも、寺社建築にはヒノキが一番!って、じぃじ先生いつも言ってるよね?


それはそうだけど。
東本願寺の御影堂は、明治維新のとき炎上、明治28年に再建された。
明治時代には、もはやそれだけの大きなヒノキはなかったんだ。

ちなみに、江戸時代・元禄年間に再建された東大寺大仏殿も、すでに太い柱材にヒノキが調達できず、何種かの材を金輪で束ねた「寄木」を使っているよ。

ケヤキは、お寺の材としては結構古くから使われていたようで、江戸時代に建てられたお寺では一般的なんだ。


お寺や神社以外には、どういうものに使われる木なの?



性質は、材は堅くて木目がきれい、弾力性もあり割れにくいケヤキは、いろいろな用途に使われてきたよ。
民家の大黒柱などのほか、家具や調度品、餅つきの臼や杵、太鼓の胴、三味線の胴、お椀や鉢などの食器、そして彫刻……。


そんなに……。
ケヤキって、並木や街路樹などの環境でも、建物や道具などの生活でも、身近で大切な木なんだね。
校庭の「大槻さん」も、もっと大事にしてあげようっと。

YOSHIYA TADAKI 's web site 森林雑学研究室 Stories of Forest Ecology


 



わが校のシンボルツリー。
4階にある部室の窓から、葉っぱが手に届きそう。




わが街のシンボルツリー。駅前で発見!




冬のイルミネーションで有名な、六本木けやき坂。




大きいなぁ・・・。都立砧公園にて。




東本願寺御影堂。
2004年からの修復工事が2009年6月に完了。


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これは、学校にある大きなケヤキの木。

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