学校の授業で、光合成のムービーをつくったよ。


それはおもしろい授業だなぁ。どれどれ・・・
「Photosynthesis」 光合成のイメージムービーといったところだね。
“I want glucose.”なるほど、大きな木がブドウ糖を求めているわけだな。



光合成の目的は、ブドウ糖を得ることだよね。


そのとおり。
ブドウ糖から、でん粉、各種糖類、植物の主要成分のセルロースといった炭水化物が合成される。これらを作り出す作用という意味から、光合成のことを「炭酸(炭素)同化作用」ともいうね。
生態系の物質循環」を覚えているかな? その基本は、生命を持った炭素化合物(有機物)を作り出すこと。すなわち光合成だよ。



で、木に雨が降ってくるでしょ・・・。


光合成に水は不可欠だ。ただ、ここで注意。葉が受けた雨水で、そのまますぐに光合成をするわけではないんだよ。
水(雨)はまず土の中に浸み込む。それを根が吸い上げてはじめて、光合成に使われるんだ。


あ、そうか。植木に水をあげるとき、葉っぱじゃなくて植木鉢の土にかけるよね。


そう。土に浸み込んだ水(雨)と一緒に、土の中の各種養分元素、リン、カリ、カルシウム、窒素なども一緒に吸い上げる。



リンとかって肥料なんかにも入ってるけど、土の中に元素が存在してるってこと? う〜ん・・・イメージわかないなぁ。


リン、カリ、カルシウムなどは、もともと岩石中にあるものだよ。岩石が風化して土壌化するとともにそこに存在する。
それらは、水と一緒に吸い上げられ光合成に参加したあと、分解されてまたそこの土に戻る。つまり物質循環の流れに乗るというわけ。


戻る・・・? 分解は腐ることだよね?


そのとおり。生命を失った有機物が分解される、すなわち腐ると、もとの生命のない無機物になる。それが「戻る」ということ。それらはまた、次の光合成の原材料になる。



そっか、リンやカリはその場でぐるぐるまわっているんだ。


だから、こうした元素の循環は「閉鎖性循環」と呼ばれている。
その場でぐるぐる・・・まさにそれ。いい表現だ。



閉鎖性があるなら、開放性もあるの?


いい質問だ。もちろんある。というより、それが大切。大気の話だよ。
陸上では、大気から取り入れられた二酸化炭素は光合成で有機物に合成されて、物質循環し、最終的に分解されて大気中に戻る。



そうか、空気はその場所にとどまっていないものね。


そう。大気は常に動き、混合を繰り返している開放的なもの。だから、炭素の循環は「開放性循環」と呼ばれるんだ。


じゃあ、ワカメやコンブみたいな水の中の生物はどうしているんだろう? 大気に直接ふれていないから、二酸化炭素が・・・。


水中にも二酸化炭素はある。二酸化炭素は水によく溶けるよ。


あ、ソーダだ! しゅわしゅわ・・・。
水は動くから、これも「開放性循環」?


そう呼んでいい。
小さな池を考えると「閉鎖性」みたいに思えるが、その水面は大気と接していて、常に二酸化炭素を交換している。



窒素は? 窒素は空気中に一番多く含まれてるって習ったよ。


うん、窒素はもともと大気中に存在するものだ。
根粒菌の働きや、雨水に溶け込むことで土壌にもたらされ、吸い上げられて光合成に参加する。



根粒菌って、フジとかの根っこに共生してるっていう、あれ?


そう。大気中の窒素を取り入れて土を肥やす働きをする微生物だ。根粒菌が植物と共生できるのは、その植物が光合成で得た産物が供給されるからなんだよ。
生物に利用された窒素は、ガスに分解されて大気に戻るものと、そのまま土に残るものがある。つまり、開放性と閉鎖性両方の経路があるため、その循環は「半閉鎖(半開放)性循環」と呼ばれている。



水と元素、日光、二酸化炭素、・・・。そして、光合成には葉緑素が必要だよね。


葉緑素(クロロフィル)は、細胞の中の小さな器官・葉緑体(クロロプラスト)に含まれているものだ。光合成は、これが太陽からの光エネルギーを吸収して行われる。


光合成って、緑の葉っぱでしか行われないものなの?


太陽の光のうち、光合成で利用されるのは青色と赤色の波長域の光のみ。葉が緑色系(まれに赤)に見えるのはその影響だよ。
だから、緑色系でないものは光合成しない、というより、できないんだ。もちろん例外もあるけどね。



じゃあ、紅葉したら光合成はできなくなるの?


それは、おもしろい視点だな。
紅葉は、葉を落とす前のいわば準備段階で起こる現象だ。葉緑素がなくなるわけではないから、光合成は行われているよ。


光の届かない海底とか地底の植物はどうなるの? 
それから、国際宇宙ステーションでの植物の生育実験や、ビルの中にある野菜“工場”。ニュースでは「人工照明を使う」って言ってたけど、光合成って太陽の光でなくてもできるの?


光がわずかでも光合成はできる。また、例えば太陽光の届かない地下の鍾乳洞でも、照明設備があればその周囲に緑色のコケが生えてくる。
でも、どんな光でもいいってわけではないだろうね。研究が進みいろいろと実用化もされているけど、やっぱり太陽光がいちばんじゃないかな。



うん。太陽がいちばんっていうのは、なんとなくわかる。


光合成は、複雑な化学変化で有機物を合成する。それは、太陽エネルギーを固定することだ。
その他の化学的反応では得ることのできない形のエネルギーを地球上に確保し、それによって地球上のすべての生物の生命活動が成立するという、重要な意味があるんだよ。



太陽エネルギーの固定・・・?


取り込むこと、といえばわかりやすいかな?
植物は光合成の時に太陽エネルギーを取り込む。動物は、その植物を食べることで間接的に取り込む。植物や動物には生きていくためのエネルギーが必要だろう? 太陽エネルギーはその源というわけだ。
そんな“偉大な”太陽のエネルギーを地球上に固定できるのは、他でもない、葉緑素をもつ植物だけなんだよ。



光合成って、すごいことなんだ。私たち動物は、植物にも太陽にも感謝しなきゃいけないね




YOSHIYA TADAKI 's web site 森林雑学研究室 Stories of Forest Ecology


  光合成のムービーをつくったよ。

















































夏の太陽浴びて、光合成生産フル活動。兵庫県武庫川源流、広葉樹林。









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