YOSHIYA TADAKI 's web site 森林雑学研究室 Stories of Forest Ecology


  大田神社へ、夕涼みに行こうよ

じぃじ先生 ちょっと教えて 
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  12 この間、上賀茂神社に行ったじゃない? じぃじ先生のお散歩コースをなぞりながら。
今日はあの続きをしない? 行きたいお宮さんがあるんだ。


大田神社かな?


うん。大好きなんだよね。


よしよし、行こう。じゃあ、途中で、ちょっと紹介しようかな。
・・・さて。ここは、どこでしょう?



あ、このアングル見たことある! 


そう。じぃじ先生の定点観測ポイントだ。


タケがすごいなぁ。
タケは生命力がありすぎて、里山の雑木林をどんどん侵略してる(→2010.7森林雑学ゼミ)んだったよね。ここもその例?


そう。どれだけ進むか、どういう状況になっていくのか、定期的に見にくるんだよ。そういう定点観測は大事なんだ。











さぁ、着いた。大田神社。ここのクスノキも立派だなあ。


明神川のところの(→2011.7ちょっと教えて)も大きいけど、ここのはまた別。この雰囲気が好きなんだよね。「森厳」って感じで。
国際森林年。森を歩こう(→2010.2ちょっと教えて)、だよね。
・・・わ、涼しいなぁ。






ここは、初夏にはカキツバタの群生が見事で有名なんだよ。
手水鉢の横を見てごらん。アオイが育ててある。



上賀茂さん、葵祭の象徴だね。そっか、ここも上賀茂さんの末社なんだった。
あの屋根の上の写真も見たことがあるなぁ。


お、気づいたか。遷移の例として見せたことがあるね。
檜皮葺(ひわだぶき)のヒノキの皮の上に落ちたタネが育っている。





あの木は? なんか枯れそうじゃない?


ヒノキだよ。そう、あの木は、こずえから徐々に枯れていってるんだなぁ。


「あの木はこずえから」って、他の枯れ方もあるの?


カシノナガキクイムシ(→2010.5森林雑学ゼミ)、通称「カシナガ」の影響などの場合は、一斉に枯れてしまうんだ。


なんとかならないのかなぁ。
あれ? となりには伐り株が・・・あれも枯れちゃったのかな。



あっちはスギだね。枯れて危ないから伐られたんだ。


あんなに大きいのに・・・残念だね。






あ、立て札がある。「大田の小径」・・・? 


うん、このあたりはハイキングコース・・・とまではいかないけど、散策路になっているんだ。
裏山を行く道はそれこそちょっとハイキングだけど、今日は下の道を行こう。



結構、うっそうとしてるんだ。


実はシカが出るんだよ。山から下りてくるらしい。
そして、ここを抜けると・・・。



わぁ、ステキな道! 


えーっと、このあたりにあるのはサクラだね。春、じぃじ先生の部屋から真正面に見えるんだ。毎年楽しませてもらってるよ。


でも、あれ? ここ、なんか見たことあるような気が・・・。え~っと、京都の有名な・・・あ、嵯峨野だ!
このタケの感じがすごく似てる。


うん。じぃじ先生、おススメの風景だ。
この垣根、本物の柴でできているんだよ。





ここも定点観測ポイント。これはアベマキの木だ。


わぁ、立派だなぁ。定点観測ってことは、何かあるの?


カシノナガキクイムシ、通称カシナガ(→2010.5森林雑学ゼミ)。アレが狙っているような気が、どうもするんだよ。


それで見守っているってわけか。ナラじゃなくても、虫はつくの?


分類上の属は同じ木なんだよ。
カシナガが好むのはナラの属なんだけど、不思議なことに、直径30センチを境に、細い方にはめったにつかないんだ。
それ以上のものばかりが被害に遭う。


30センチ以上・・・狙われそうな太さだねぇ。


だろう? なんとかこらえてほしいんだが・・・。







2010年8月、コナラ闘病中。スケール代わりの携帯電話の横に、確かに白い粉が見える。




復活コナラ
2011年7月、闘病の痕跡。吹き出た粉は古くなって茶色に変っていた。



こっちのコナラは、カシナガにやられていた木だ。


やられていた? 
でも今、葉っぱは青々していて病気っぽくないよ?


そこ、それだよ。
この木はねぇ、カシナガにやられたけれど復活した、珍しい例なんだよ。



復活!? そんなこともあるの?


あるんだよねぇ。
カシナガが木の幹に入り込むと、白い粉を出すようになるんだ。だから逆に、白い粉が幹に見えたら虫が入り込んでいるという証拠になる。
1年前、じぃじ先生はこの木から、その白い粉が出ているのを見たんだ。その名残りがここにある。



これ? この茶色い粉のこと?


そう。これがもとは真っ白で、さぁ~っと流れ出てくるんだよ。


なんで治ったの? 木が若くて体力があったとか?


そこなんだよなぁ。実はわからないんだ。
木が若かったということも考えられるし、それほど被害が深刻でなかった・・・つまり、虫に大きく食われていなかったとも考えられる。さて・・・。



そっかぁ、カシナガの問題って本当に難しいんだね。治った理由が解明できたら、御所の木も上賀茂さんの木も救えるのになぁ。


そうだね。研究の進歩を願うばかりだ。


今日はカシノナガキクイムシの現地調査って感じだったなぁ。対処の方法が早く見つかりますように。






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