果物の王様・ドリアン。さすが堂々たる・・・。
果物の女王様・マンゴスチン。
こちらも堂々と、そしてつややか。
洋ものには負けません。
タンバグリ、味も歴史もすごいんです。
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京都林大のある京丹波地方は、クリの産地(→2012.11ちょっと教えて)。そのクリを含むこのフレーズ、近頃はあまり聞かないような気がします。
言うまでもなく、果実が実るのに要する年数には長短あることを言ったことわざです。
「桃栗三年、柿八年」に続けて「柚子は九年で成りかかる」、さらに「梅は酸い酸い十八年」・・・。年数は正確ではないものの、木によってさまざまなのは確か。
何事も達成されるためには、それぞれに応じた時間が必要ですよ、という理屈を語るものでしょう。
古代、いまだ農業未発達だった狩猟時代。狩りの獲物はもちろんですが、古代人にとって、山野に実る植物の果実が、食糧として魅力的であったのは間違いありません。
古代の遺跡から、果実のタネがまとまって出てくる例はよくあるようです。
長い歴史の間、食べられそうなものはすべて試され、食べにくいものも食べる工夫がされてきたと考えていいでしょう。そうするうちいつしか人間は、それらの中の重要なものについてタネを蒔いて栽培することを覚えます。
それは、味や栽培管理に適した品種改良へ発展。狩猟採取から農業的利用への進化、果樹園・大量生産システムの誕生です。
温帯域では,クリ、クルミ類、トチ、カキ、モモ、ミカン類などが、熱帯では果物の王様といわれるドリアン、同じく女王とされるマンゴスチン、ほか、パパイア、マンゴー、ランブータン、パンノキなどが、そうして進化してきた例です。
例えばドリアンは栽培種として品種改良され、果樹園はもとより、農家の庭や道路わきでも立派な実を実らせています。
もっとも、私が以前熱帯森林で見たドリアンの原種は、樹高20〜30mの高木で、地上に落ちていた果実はせいぜいソフトボール大でしたが。
そんななかでクリ類は、世界的に見て栽培域も広く、栽培果実の代表的存在。地中海沿岸のヨーロッパグリは、マロングラッセでお馴染みです。
さて、それぞれの木が実をつけるのに必要な年数。それは、幼時に成長が早い陽性の木では短い傾向があるようです。
たとえば、ハンノキ、カンバ類(強陽性)では10年前後、マツ類(陽性)は15〜20年、陰性のスギやヒノキで20〜30年、ナラ類やカシ類30年、モミ類・トウヒ類・ブナ40年以上というぐあい。各々、かなりの違いがあります。
また、実をつける成年に達した木が、その後、毎年実を着けるかというとそれもさまざま。毎年のものも多い反面、高木種では豊作と凶作とが繰り返されるのが一般的で、その豊年・凶年の間隔は、樹種によって異なります。
比較的、陽性の木は毎年実を着けます。
他方、クリやキリは1年毎のくり返し、スギ・ヒノキ・マツ類・ケヤキ・ナラ類は2〜3年毎、ヒバ・モミ類・トウヒ類になると3〜4年毎で、クス・ブナは4〜5年、カラマツにいたっては5〜7年に一度だとか。
これらいずれも経験則で詳細は不明ですが、豊凶の間隔の長いものでは、その間に並作年が挟まることもあるといいます。
なんとも不思議なこの現象。
「今年は山の木の実の実りが悪いので、クマが食糧を求めて人里に・・・」などはよくある報道ですが、気候との関係が原因と疑われつつも、実は今のところ「?」なのです。
(c)只木良也 2012
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