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2018.02
じぃじ先生 ちょっと教えて

温暖化…なのに大雪? だから大雪?



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世界の平均気温の変化(気象庁)
バラつきはありつつも、全体としては右肩上がり。





日本の平均気温の変化(気象庁)
うーん、やっぱり右肩上がり。





2018年冬の大雪。千葉県船橋市。





大雪翌日、東京・上野公園。
巨大な雪だるまが出現。





わが国の森林の炭素固定量概算(→2015.2森林雑学ゼミ









東京都三鷹市。
降雪から3日目でもまだこのとおり。





大分県別府、鶴見岳も雪





温泉街別府に雪雲が。





雪から2日目の大宰府天満宮。
まだ雪が残って池は全面氷。





京都・上賀茂神馬堂。





京都林大のまわりもこのとおり。





寒いねぇ。日本全国、どこも大雪。

今年は本当に寒いなぁ。「地球温暖化なんて嘘だ」と言う人もいるくらいだ。


それ、言いたくなる! 
でも、違うんだよね。温暖化は、地球規模の気候変動の原因とされていて、その結果、異常気象があちこちで起きているわけで。

お、わかっているな。すばらしい。
アメリカが、ハワイのマウナ・ロアで長期間のデータをとっているが、上下動はありつつも、地球は確実に温暖化に向かっている。


気象庁のサイトには、世界の年平均気温偏差と日本のデータがあったよ。世界の平均気温って、20世紀から21世紀にかけて1℃程度あがっているのか。 

1℃なんか大したことはないって思うだろう? 


うん。10℃と11℃で着る服が違うかっていうと、そんなことないもん。

そう。だが問題は、これが「平均して1℃」というところ。
世界中がどこも均等に1℃ずつ上がっているかというとそうではない。地表の状態によってぐんと気温が上がるところもあれば下がるところもあり、地球全体を平均して1℃ということだ。


地表の状態?

裸地、植生地、水面・・・場所によって、いろいろだろう? それぞれに温度の影響の受け方が異なるから、同時に気温への影響にも違いが出るというわけだ。そうして地球上の気温の分布が変われば空気の流れが変わって・・・。


気候の変動が大きくなってしまう。

そのとおり。地球規模の気候変動問題に取り組んでいるIPCC(気候変動に関する政府間パネル)がまとめた報告書の2014年度版では、ついに「もう手遅れかもしれない」と。


衝撃的だよね、「手遅れ」って。初めて聞いたとき、びっくりした。

原因のなかで大きなものが、やはり化石燃料による発電だ。燃やして発電するために、温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)を大量に生み出してしまう。
COP3(1997年)の京都議定書の目標達成をめざして、わが国政府は、火力発電を減らすために原子力発電を推進することにしたのだが、2011年の東日本大震災をきっかけに、いったん原発はすべて停止になった。


原発の問題は本当に難しい。震災後は、原発がなくても電力はまかなえていたようだけど、現在、いくつかは再稼働している。
何より、今は原発そのものよりも、なんだか政治の色が濃くなっちゃったみたい。

すぐに解決できるものではないだろうね。でも、温暖化は待ってくれない。
では、困った二酸化炭素を減らす、無くすにはどうしたらいいか。そこで、森林の出番だ。


森林が二酸化炭素を吸ってくれる。その実力には、かなり期待できるっていうことだったよね(→2015.2森林雑学ゼミ)。

以前、説明した方法を覚えているかな(→2015.2森林雑学ゼミ)。この表の計算結果は、京都議定書で基準年としている1990年の排出炭素量に対して、森林成長量としての固定:6.4 %(うち人工林:77 %)、成長量+収穫量としての固定:7.4 %、であることを示している。なお、森林蓄積量として貯留している量は排出量3.7年分、と計算できる。 


蓄積能力には、当然、地域によって差がある。京都はたしか8%(→2016.7ちょっと教えて)。

そう。ほか、府県別に試算したら、その府県の総排出炭素量に対して成長量として固定する比率は、長野で18%、北海道14%、奈良14%と、森林県で当然大きかった。
ところで、二酸化炭素を吸収するのは森林だけだろうか。光合成なら、草だってしているんだけど・・・。


あ、ほんとだ。どうして草のことは話題にならないのかな。

ね? 森林ばかりが取り上げられるということは、森林が有効に働くからだよ。じゃあ、なぜ森林の方が有効なのだろうか。


うーん、量の問題?

お、いいセンだ。最大の違いは寿命。草の多くは1年で枯れてせっかく吸収した炭素を放出してしまうが、木は何年も、何十年も生きて、その間炭素をため込むんだ。


そうか、幹や枝は毎年太っていくんだ。

その点こそが重要なんだよ。温室効果ガスと森林の関係は、これまで生きている間は炭素を吸収するけれど、伐採して処分したら炭素が放出されると単純に考えられていた。つまり伐ったら意味がない、と。


sink(吸収)と source(放出)だよね。だけど、もうひとつSがある。stock(蓄積)だね。(→2015.1ちょっと教えて

そう、このstockを忘れちゃいけない。
生きた森林の炭素貯留は、IPCCによれば3590億トン、なんと世界の炭素放出量の31年分にあたり、それは全陸上植物の貯蔵炭素量の77%だという。森林は陸地面積の28%だ。生きた木々だけでなく伐採した木が蓄積している炭素は、その木材を燃やしたり腐らせたりしない限り、放出されず中にとどまっている。これも森林・木材の重要な存在価値だ。


蓄積の話、ダーバンでの会議(COP17、2011年)で取り上げられたけど(→2015.2森林雑学ゼミ)、じぃじ先生にしてみれば「やっと」という思いだったんじゃない?

思った思った。「伐採後の木材も炭素貯蔵に貢献する」と、世界的に認知されたことは、ひとつの前進だった。


このCOP17では本来、京都議定書が期限切れになるから、その後の議定書を制定しないといけないはずだったのに、まとまりそうにないからって、それを2015年のCOP21(パリ)まで先送りした。だから評判はいまひとつだけど、実はこういう歴史的ともいえる大事なことが決まった会でもあったんだね。

そのCOP21では、ようやく、18年ぶりに気候変動枠組条約加盟の196カ国のすべてが参加して協定締結。二大排出国のアメリカと中国も批准したんだ。


パリ協定だね。フランス外相が「歴史的な転換点」と言ったという。

先進国も途上国もみんな一緒に、温暖化防止のために頑張ろう、という機運が高まったんだ。ただ、高まるには高まったんだが・・・。


あの方のご発言、ですね(笑)。

そう、アメリカのトランプ大統領が、2017年6月に「地球温暖化はウソ」だと協定離脱を表明してしまった。


あれはショックだったなぁ。でも、その年の2017年11月のCOP23(ベルリン)では、アメリカ発のこんな動きもあったらしいよ。ニュースにあった。
・全米市長会、気候エネルギーソリューションセンターは、温暖化防止に前向きに取り組もうとしている。
・アメリカでは「アメリカ気候行動センター」など非国家アクターにも、国や政府ではなく、国境を越えた企業体の動きも出ている。

企業体、ねぇ。


ん? どうしたの?

温暖化をめぐる議論で心配になるのが、昨今、それがマネーゲームや政治の材料になってきているということ。排出量取引はともかく、再生エネルギー開発がらみの利権争いやら、トランプ大統領の発言のように自国の得にならないことはしないという態度やら。
本来の動機は、自分たちの住む地球をなんとかしなければ、ということだったはずなのになぁって。


うーん、そもそも地球がなくなったらお金儲けもできないのにね。

ほんと、そうだよ。世界は経済中心にまわっている。経済がどんどん大きくなっていくのは良いことだという意識があるよね。それは確かだ。でも、環境資源はどうだろうか。


どんどん大きくはならないよね。地球はひとつなんだから、限度がある。

となると、経済が拡大する以上、その中での“利”の取り合いは厳しくなっていく。


でも、だからといって、経済成長はこのへんで止めておこうというわけにはいかないし。

ノーベル賞って、いつまで続くか知っているかい?


ん? え? えーっと、お金が続く間はずっとあるでしょ、たぶん。

それ、「お金が続く」は大きなポイント。
ノーベル財団は「未来永劫続きます」と言う。なぜなら、ノーベル賞は莫大な基金の利息から毎年の賞金を支出しているからだ。


原資が減らないので、ずっと続けていくことができるってことか。

人間、必要以上のものを欲するとややこしくなる。利息の中でやりくりするのが、循環社会、サステナブルの考え方だ。


「持続可能な」だね。

資源には限りがある。だから、今あるものを上手に使って、原資が目減りしないように努めないといけないんだよ。


そう思うと、やっぱりトランプさんの離脱宣言は痛いね。地球の将来のため、というか、自分の子どもたちが暮らす場所のためなのに。

トランプなのに、ハートがない。


え?

・・・と、『笑点』で落語家の林家木久扇さんが言ってた。うまいよなぁ。


それはやられたねぇ。じぃじ先生、自分で思いつきたかったでしょ。ざんねーん(笑)。


 

     


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