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2013.01
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

「ヘビ登らず」って木があるんだって

 

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ヘビノボラズの仲間。
うん、この棘はかなり痛そうだ。

 

 

 

 

 

馬酔木と書くアセビ。
馬が酔って愉快になるだけじゃないんだね。
命に関わるんだ。

 

 

 

 

 

ほんとだ! 馬の蹄の形、そのまんま!
ウマグリはトチノキの別名。

 

 

 

 

 

ご存じ、サルスベリ。
木肌はツルツル、スベスベです。

 

 

 

 

 

トリトマラズと呼ばれる木のひとつ、ニシキギ。
枝に張り出している板みたいなのが、鳥を邪魔してるんだね。

 

 

 

 

 

ネズミサシ。
植物園の木は高く育ってるから「鼠を刺す」のはイメージしにくいけど、葉が針みたいで痛そうだね。

 

 

 

 

 

トラノオ。これはハリモミの枝先。
虎の尾? う〜ん・・・言われてみれば。

 

 

 

 

 

ウサギカクシのひとつ、イヌツゲ。
こっちはイメージ通り。
向こう側から白い顔がのぞいていそう。

 

 

 

 

写真:
京都府立植物園にて撮影
http://www.pref.kyoto.jp/plant/

 
今年は巳年。こないだ読んだ本に、「ヘビノボラズ」っていう名前の木が出てきたよ。

 

ああ、あるある。メギ科の低木で、幹に葉の変形した3本ずつセットの鋭い棘があるんだ。
これではヘビも痛くて登れない。

 
棘はヘビには辛いねぇ。そういう動物の名前がついた木って、いろいろあるよね。

 

そうだね。じゃあ、お正月ってことで、十二支にちなんだ植物を探してみるとしようか。
巳からはじめたら、次は午年。

 
馬が酔う木があったよね。前に、じぃじ先生が紹介してた(→2010.5.23ひとりごと)。

 

馬酔木だね。正式和名はアセビ。別称はそのものズバリで、ウマクワズ(馬食わず)と言うんだ。毒性があるため、馬は中毒し、鹿は角を落とすとか。したがって、馬も鹿も食べない。
もっとすごい、ウマコロシなんていうのもある。別名、サルコロシ。ドクウツギのこと。死に至る毒性があるそうだ。

 
えー!? お正月から物騒だなぁ。

 

また、トチノキの別名はウマグリ(馬栗)だ。葉痕(前年に葉がついていたところ)が馬蹄形のためとか、トチの実が馬など家畜の病気に効果ありとか。
さて、次は未。う〜ん・・・うまい例が思い浮かばないなぁ。

 
羊がたくさんいるオーストラリアあたりに何かないかなぁ。ちょっと調べてみよう。
●Sheepberry 
 スイカズラ科ガマズミ属の低木。白い小さな集散花をつける。北米産。
●Sheep laurel 
 ツツジ科カルミア(ハナガサシャクナゲ)属の低木。北米産。羊などの動物に有毒と言われる。 Lambkill とも。

 

ほう。Lamkill とは・・・さながら、ヒツジコロシだね。

 
物騒続きだなぁ。じゃあ、次は申で、サルスベリ!

 

うん、定番だ。ツルツルの幹が、その名の由来。
サルトリイバラ(猿捕り茨)というのもある。ユリ科のツル性植物で、鋭く硬い刺を持ち、巻き髭で他の植物によじ登る。
さて、酉はどうだろう?

 
さっきのヘビノボラズの別名は、トリトマラズ(鳥止まらず)だよね。

 

お、よく知ってるな。「トリトマラズ」というのは、針や棘を持ち鳥がとまれないような様相の植物全般を指す、あだ名のようなものだ。タラノキ、メギ、クロウメモドキ、ハリブキ、などがあるね。
また、ニシキギも、枝に板状の張り出しがあるから、同様に呼ばれる。
似た語に「トリノボラズ」っていうのもあるよ。
ただしここで言う「トリ」はバードで、ニワトリではないねぇ。

 
ま、それはいいじゃない(笑)。
じゃ、次の戌にいこう。イヌコリヤナギっていうの、前に教えてもらった。イヌっていうのは「似て非なるもの」の意味だったよね(→2012.8ちょっと教えて)。

 

そう、その「イヌ」なら、イヌエンジュ、イヌガシ、イヌゲヤキ、イヌザクラ、イヌザンショ、イヌブナ、イヌガヤ、イヌツゲ、イヌマキ・・・。

 
たくさんあるのはわかったよぅ。それより、動物の犬の意味はないの?

 

イヌノシリヌグイ(犬の尻拭い)はどうだろう。低木のゴマギのこと。葉は比較的大きく、ザラザラしていることからか。

 
犬のトイレットペーパーなわけね(笑)。

 

そうそう。さて、亥だ。
シシクワズ(獅子食わず)があるな。シシは猪のこと。レンゲツツジの類は、猪も、放牧の家畜も食べない。

 
どうして食べないの? 猪の好き嫌い?

 

これはドクツツジとも言って、名の通り毒性があるので、猪や家畜も避けるようだ。だから放牧地などでも食われずに生き残る。

 
猪、こんなのも見つけたよ。ハイノキは「猪子(いのこ)シバ」って呼ばれるんだって。猟師がイノシシを背負うとき、背中に血がつかないように敷いたことから付いたらしい。

 

お次は子、ネズミ。ネズミトリ(鼠捕り)にネズミサシ(鼠刺し)。
ネズミトリはハリブキの別称で、低木だが全株に刺針が密生している。
ヒノキ科の針葉樹であるネズミサシは短い針状の痛い葉をもち、実際にネズミの通路を防ぐのに用いたそうだよ。

 
さっきの、サルトリイバラみたいなものだね。

 

じゃあ、丑にいこうか。
ウシコロシ(牛殺し)は、サクラの仲間でカマツカ(鎌の柄などの適材)の別名だ。ウシの鼻輪の材として使われた。漢字では牛鼻木。

 
牛の鼻輪に使うくらいだから、堅い木なのかな?

 

その通り、堅くて弾力がある。実際に殺すわけではなく、鼻輪をはめることで人間に従属させるという意味だ。

 
なるほどなぁ。ウマコロシとかとは違う意味なんだね。
じゃ、次は寅。

 

トラノオ(虎の尾)かな。亜高山帯のモミ属、トウヒ属などにこの名が付いたものがある。
びっしりと葉のついた状態を、虎の尾に見立てた呼び名らしい。

 
あのふさふさの尻尾みたいなのかな。ちょっと触ってみたいかも。

 

あははは。さて、お次の卯は、ウサギカクシ(兎隠し)、ウサギカクレがある。
これは、コウヤボウキ、ツクバネウツギ、イヌツゲなどの小低木の別名だ。

 
わさわさ地面に茂って、ウサギの姿を隠すっていうことだね。なんかかわいい。

 

さあ最後、辰だ。竜は想像上の生き物なので難しいなあ。

 
リュウノヒゲ! 『となりのトトロ』に出てきたよ。
トトロがくれた木の実の包みがリュウノヒゲで縛ってあったじゃない?

 

おお、さすがしょっちゅう観てただけあるね(笑)。
確かにリュウノヒゲ(龍の髭)というのはあるよ。マツの変種で葉が螺旋状に着き、不規則によじれ合う。その姿、竜の髭の如しってね。
ただ、トトロの包みに使ってあったのはおそらく、マツの葉ではなく、ジャノヒゲが正式名称の、ユリ科草本の細い葉だと思うよ。

 
そっか、同じ呼び名のがあるのかぁ。
えーっと、これで十二支一周だね。・・・で、思い出したんだけど、『枕草子』の「名おそろしきもの」の段に「くちなはいちご」っていうのがあったよ。
「くちなは」って蛇のことだから、これはヘビイチゴのことだよね。

 

ああ、またおもしろいものを持ち出したな。ヘビイチゴ。あるある。ナワシロイチゴの別称だ。
「くちなは」は「朽ち縄」の意味だ。
蛇は、縄や木の肌と見分けがつかないことが多いけど、遠く平安の時代からそう思われていたんだなぁ。

 
そもそも、そうやって擬態してるんだもんね。

 

うん。そういえば昔、山で調査をしていたとき、ふとつかんだ木の幹がニョロリと動いたことがある。それはもうビックリで・・・。
以来、じぃじ先生は蛇が苦手なんだ。

 
えー、山歩きの専門家なのに!? 
新年早々、衝撃の告白じゃない(笑)。

 

 

 

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