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2017.04
森林雑学ゼミ
 

京都府立林大6年目に

 

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京都林大校門と本館。古い建物の再利用。





集会室。
机、椅子、本棚、床張り・・・木材潤沢に使って。





2016年12月林大祭。
近隣からの協力的な出店も多く、なかなかの賑わい。






 

 京都府立林業大学校は、本年4月から6年目に入ります(→2012.5ちょっと教えて)。
 2012年、西日本初の林業大学校としてスタートしました。その後日本全国で林大設立が相次いでおり、すべてが計画通りに進めば、20近い都道府県で開校されることになります。まさに「林立」状態です。
  ですから、京都林大の責任は重大です。近年の先駆例である京都がうまくいっていなければ、せっかくの林業校設立のブームに陰りが生じてしまうかもしれません。年度はじめにあたり「京都が全国から見られている。しっかりやろう」と、教職員と気合いを入れなおしました。

 京都林大は、1学年定員20人、2年制という小さな2年制の大学校です。
 学生は全国から集まっていて、半数以上が京都府外の出身者です。彼らのなかには、自分の地元ではなく、京都の林業組合などへ就職する例も見られます。
 また、大学卒業生や社会人経験者の志願者が毎年何人かいて、目的意識の高さからクラスのリーダー的存在になってくれることもあります。
 在校生は、実践的な林業経営や技術を習得する林業専攻、将来の地域リーダー育成を目指す森林公共人材専攻のどちらかを選択。1年次では、基本的な学習講義と実習、2年次ではドイツへの見学実習旅行や団体・企業での現場実習、そして卒業研究を行っています(→2016.10森林雑学ゼミ2014.12.162015.3.12016.6.23ひとりごと)。
 林業従事者の高齢化が進む昨今、管理できなくなった山林を林業組合が管理したり、林業機械が高性能化して運転技術を持つ人材が不足していたり、といった問題があちこちで生じています。そんな現場において、こうした課程を経た卒業生たちは即戦力。大いに期待され、実際に活躍しています。

 ただし、私は林大を単なる技術習得のための学校にはしたくありません。
 実務作業ができる技術を身に付けていることは大前提ですが、その作業の意味を理解していてほしい。つまり、ある木を伐採するときに、「なぜこの木を伐るのか」が学理に基づいて説明できるような、専門知識を持った人材を育成したいのです。
 京都林大の教育理念を問われると、私はいつも「自然を愛する人は多いが、自然を尊敬できる人は少ない。自然を尊敬し、その摂理を現実面に生かせる人を育てたい」と答えてきました(→2012.5ちょっと教えて)。
 教職員の皆さんもこれに同調してくれて、「自然を尊敬」は京都林大の教育理念として定着しつつあるようです。

 5年間の試行錯誤を経てきた今、「学校らしく」成長してきていると感じています。一昨年には、先行する歴史の長い岐阜森林文化アカデミー、長野県立林業大学校との協議会も発足して、3校でこれからの日本の林業のあり方を話し合いました(→2015.11.232016.12.2ひとりごと)。
 全国で展開中の林業校、それぞれの成功を期待します。その中での京都林大の名実共の完成を目指し、ますます努力していきたいと思っています。
     



(c)只木良也 2017

 

 

   



 

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