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2013.02
じぃじ先生 ちょっと教えて
 

節分の豆まきをしたよ。

 

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豆まきした後、年の数だけ食べるのが楽しみ。

でも、じぃじ先生は数が多いから大変だね。

 

 

 

 

 

御所の鬼門除け。

この凹みはなんだろうって、初めて見たとき、謎だったんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

ヒイラギの葉は、あっちもこっちもトゲトゲトゲトゲ・・・。

鬼だけじゃなくて、人間も痛いョ。

 

 

 

 

 

ご近所のヒイラギナンテン。

ヒイラギなの? ナンテンなの?

・・・正解は「葉がヒイラギっぽいナンテン」だって。

 

 

 

 

 

 

セイヨウヒイラギ。

このビジュアル、ザ☆クリスマス!

 

 

 

 

かつて、この地は一面のヒイラギ林だった

・・・というわけではナイらしい。

 

 

 

 

 
3日は節分だったね。今年も豆まきをしたよ。

そうだね。季節の変わり目の厄除けの追儺(ついな)の儀式。旧暦正月の日(立春)の前日、現代では2月3日とされている。宮中では、平安時代から行われてきたというよ。


「鬼は〜外! 福は〜内!」って言うけど、節分のイメージはやっぱり鬼だなぁ。古文では、「鬼遣(や)らい」って言うし。

行事として一般化したのは室町時代以降、その後、今の豆まきのスタイルになっていったそうだよ。
では、その鬼に関連して質問だ。「鬼門」って知ってるかい?


東北の方角のこと。そこから鬼、つまり災いがやってくるんだよね。

うん、じゃあもうひとつ。なぜ、東北の方を鬼門というのか?


知ってるよぅ。十二支で方角を示すと、東北は「丑寅(うし・とら)」の方角だから。
ウシみたいな角があって、トラの皮のふんどしをしているのが、鬼なんだよ。

よしよし、よく知ってるな。つまり、東北の方角は、鬼が入ってくる門にあたるわけだ。
昔の建物には、建物そのものや敷地の東北の角に特別なスペースを設けてあることが多い。これは鬼門除けと呼ばれる仕様で、鬼門の方は土地をいじらず、建物を建てずに空けておくことがならわしのようになっていたんだ。


京都御所もそうだよね。小さい頃、散歩に行って教えてもらったよ。

御所は塀が凹ませてあるね。うちの敷地にも、白い石が敷いてあるよ。


そうそう、そうだった! 

それから、京都の都にとっては比叡山が鬼門にあたるため、延暦寺を建てた。


京の都を災いから守るためのお寺なんだね。

そうだね。まぁ延暦寺は別格として、この鬼門、スペースを空けたり白い石を敷いたりというほかに、厄除けとしてヒイラギを植えた例が多いんだ。


あ、あの葉の刺が鬼の目を刺すっていうの、聞いたことがある!

お、知ってたか。じゃあ、節分には、ヒイラギの木の枝にイワシの頭を刺したものを戸口に立てて邪気の入るの防ぐ、というのも知っているかな。近頃はあまり見かけなくなったけれど、じぃじ先生の子どもの頃にはあちこちにあったものだよ。


ヒイラギは刺で刺すってことから鬼退治とつながるけど、イワシはどうして?

鬼はイワシのにおいが嫌いという謂れからだね。逆に、美味そうな匂いに誘われて近寄ってくるという話もある。


引き寄せてから刺すってこと!? うわぁ〜、こわい!

そもそも今は「ヒイラギ」と書くが、正しくは「ヒビラギ」だ。
その語源は、「ヒビ(皮膚の亀裂)アル(有)キ(木)」や「痛みひびらぐ(ひりひり痛むこと)」。葉の刺が刺さりそうだ、刺さったらどうなる、傷が出来て傷む・・・という意味合いからだからね。
「ひびらぐ」の漢字は「疼ぐ」で、これから「疼木」と名付けられたという説もあるよ。


痛い、痛い!

そんなことから、ヒイラギにはオニサシ(鬼刺し)、オニノメツキ(鬼の目突き)などの呼び名もある。
あのトゲを専門的には鋸歯(きょし)と呼ぶけれど、あれで刺されたら、鬼もたまったもんじゃないだろうね。


もう勘弁してあげて!

あははは。
さて、ヒイラギはモクセイ科の常緑広葉樹で、関東以西から台湾まで分布する木だ。


ご近所でも見かけるよ、刺のある葉。

ああ、庭木としてよく植えられているのは、ヒイラギナンテンというアジア大陸産の外来種だ。メギ科の木で、ヒイラギとは科が違う。葉っぱの形も、良く似てはいるが羽状複葉(→2011.09ちょっと教えて)だ。ヒイラギにはね、似ているものがいろいろあるんだよ。


クリスマスに使うのもヒイラギだよね。

あれもヒイラギの名が付いてはいるが、わが国のヒイラギとは科も違う。外国産で、セイヨウヒイラギとかクリスマス・ホリーとか言うもの。モチノキ科だ。
常緑広葉樹の少ない欧米のキリスト教国では、わが国のセンリョウ、マンリョウなどのように冬の緑の葉と赤い実が喜ばれて、クリスマスの飾りになっているんだよ(→2009.122012.1ちょっと教えて)。


そっかぁ。でも、クリスマス・ホリーって、「クリスマス」と「神聖」で、まさにそのものズバリなネーミングだね。

おっと残念、この、ホーリーはhollyで、holy(神聖な)の意味ではなく、ヒイラギそのもののことだ。
映画の都・アメリカのHollywoodのことを、昔、日本では「聖林」と漢字をあてていたのを知っているかな。あれは間違い、正しくは「柊林」と書くべきなのだよ。


へぇ、そんな書き方があるんだ。
ねぇ、Hollywoodのあたりって、もとはヒイラギの大きな木があったとか、林だったとかしたのかな。でも、ヒイラギってそういうイメージがないんだけどなぁ。

そのとおり、そんな大木にも林にもならないね。どこかのお寺でかなり大きなのを見たことはある。それでも1本立ちで、高さ10m未満。枝張りはあったけれど。
自然状態では、シイやカシの森林のなかにある中小木の存在だから、大木性のものではない。そんなに枝も張れないね。
とにかく刺のあることが一番の特徴の木だ。


鬼の話は別として、あの棘って、なんのためにあるの? 
トリトマラズ(→2013.1ちょっと教えて)みたいに、木が鳥などから自分の身を守るためなのかな。でも鳥が種子を運んでくれないと、子孫が増やせないよね。

それがねぇ・・・実はわからないんだ。
じぃじ先生もちょっと調べてみたんだけど、理由は本にも見つけられなかった。まぁ、常識的に考えれば、獣達に食われないのには効果があるだろうね。口に刺さるから。


そっか、わからないのかぁ・・・。

 

ほんとだ、刺がない! 

これじゃあ、私たちにはヒイラギってわかんないね。

 

ただ、その代わりと言ってはなんだけど、ひとつおもしろいものを見せよう。この写真、よく見てごらん。


ん? つやつやの丸い葉・・・なんの木?

聞いてびっくり、ヒイラギだ。


ええ!? 刺がないじゃない!?

そう、葉には刺がなく、形は丸い。まったく違う木のように見えるが、これもヒイラギ。葉に刺がなく丸いことを全縁というが、木が年を取ってくると徐々に刺がなくなり、こうなっていくんだ。
昔は、刺あり(オンヒイラギ)と、刺なし(メンヒイラキ)を区別して、変種扱いしたこともあったが、その後、生育段階の変形であるとわかって、今は同一種扱いしている。


年をとると丸くなるのか・・・。うふふ、頑固なおじいさんにはならないんだね。

ニヤニヤするなよ(笑)。じぃじ先生も見習わなくっちゃいけないね。


 

 

 

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